※この記事は、制度の一般的なしくみを紹介するものです。体調や治療については、必ず主治医に相談してください。
結論:休職中は「休むこと」が仕事。お金の不安は、制度を知って小さくする
心や体の不調で仕事を休むとき、多くの人が「迷惑をかけている」「このままでいいのか」と自分を責めてしまいます。
でも、休職は、回復するための大切な時間です。焦って結論を出す必要はありません。
休職中に大切なのは、次の3つです。
- まず休む:仕事のことから、意識して離れる時間をつくる
- お金の不安を小さくする:傷病手当金などの制度を確認する
- 大きな決断は、回復してから:復職か転職かは、元気が戻ってから考える
休職中の過ごし方:段階ごとの目安
回復の進み方は人それぞれですが、一般的には次のような段階をたどると言われます。
| 段階 | 過ごし方の例 |
|---|---|
| 休み始め | 睡眠と食事を整える。仕事の連絡は最小限にしてもらう |
| 少し元気が出てきたら | 散歩など軽い外出。起きる時間をそろえて、生活リズムを整える |
| 回復してきたら | 図書館やカフェで過ごすなど、通勤に近い時間の使い方を試す。主治医と復職の時期を相談する |
「元気になった気がするから、すぐ戻ろう」と急ぐと、また体調を崩すことがあります。復職の時期は、主治医や会社の産業医と相談して決めましょう。
お金の不安を小さくする:傷病手当金のしくみ
会社員などが加入する健康保険には、病気やけがで働けないときの「傷病手当金」という制度があります。協会けんぽ(全国健康保険協会)の案内では、次の4つの条件をすべて満たすと支給されるとされています。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
ポイントをまとめると、次のとおりです。
- 待期:休み始めた日から連続した3日間(待期)のあと、4日目以降の働けなかった日が対象
- 金額:おおまかに、給与(標準報酬月額)をもとにした日額の3分の2程度
- 期間:支給を開始した日から通算して1年6か月
- 給与との関係:給与が支払われている日は、原則として支給されない(給与が傷病手当金より少ない場合は差額が支給されることがある)
仕事が原因の病気やけがの場合は、健康保険ではなく労災保険の対象になります。健康保険組合や共済組合に加入している場合は、条件や上乗せの給付が異なることがあるので、加入している保険の窓口で確認してください。
退職後も受け取れる場合がある
協会けんぽの案内では、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日の前日に傷病手当金を受けているか受けられる状態であれば、退職後も引き続き支給を受けられるとされています。休職中に退職を考える場合は、退職日を決める前に、この条件を確認しておきましょう。
会社とのやりとりで確認したいこと
休職中も、会社とのやりとりが必要になる場面があります。体調が悪いときは、家族に手伝ってもらっても構いません。
- 休職できる期間(就業規則で決まっていることが多い)
- 休職中の連絡の方法と頻度(メールだけにしてもらうなど)
- 傷病手当金の申請書の、会社が記入する欄の手続き
- 社会保険料の支払い方法(休職中も保険料はかかるため、会社への支払い方法を確認)
- 復職するときの手続き(主治医の診断書、産業医との面談など)
復職か、転職か:考えるタイミング
休職すると、「この職場に戻れるのか」と考えるのは自然なことです。ただ、体調が十分でないときの判断は、どうしても悲観的になりがちです。
考え始めるのは、
- 生活リズムが整ってきた
- 主治医から、働くことを考えてよいと言われた
くらいのタイミングがおすすめです。
そのうえで、「何がつらかったのか」を書き出してみましょう。業務量なのか、人間関係なのか、働く時間なのか。原因が今の職場の環境にあり、変えられないなら、転職も選択肢になります。考え方は仕事を辞めたいと思ったら最初にやることや職場の人間関係がつらいときの考え方で整理しています。
よくある質問
Q. 休職中に転職活動をしてもいいですか?
法律で一律に禁止されているわけではありませんが、就業規則の定めや、体調への影響も考える必要があります。まずは回復を優先し、転職活動を始めるかどうかは主治医と相談するのが安心です。
Q. 休職中に旅行や外出をしてもいいですか?
療養の内容によっては、気分転換が回復に役立つこともあります。ただ、会社の受け止め方もあるので、気になる場合は主治医に相談し、必要に応じて会社にも伝えておきましょう。
Q. 傷病手当金の申請は、いつすればいいですか?
一定期間ごとにまとめて申請する方法が一般的です。申請書には、本人・会社・医師がそれぞれ記入する欄があります。申請の期限もあるため、加入している健康保険の窓口で確認してください。
Q. 誰に相談すればいいか分かりません。
主治医、会社の産業医や人事、家族のほか、厚生労働省の「こころの耳」では、働く人のメンタルヘルスに関する情報や相談窓口が紹介されています。一人で抱え込まないでください。
チェックリスト
- ☐ 主治医に、休職が必要か、どのくらい休むのがよいかを相談した
- ☐ 会社の就業規則で、休職できる期間を確認した
- ☐ 会社との連絡方法と頻度を決めた
- ☐ 傷病手当金の条件と、申請の方法を確認した
- ☐ 休職中の社会保険料の支払い方法を確認した
- ☐ 退職を考える場合、傷病手当金の継続給付の条件を確認した
こんなときはどうする?
会社からの連絡がつらい
連絡の窓口を一人に決めてもらう、メールでのやりとりにしてもらう、家族に代わりに受けてもらう、といった方法があります。遠慮せず、会社に希望を伝えましょう。
お金が足りなくなりそう
傷病手当金のほか、自治体の相談窓口で、利用できる制度がないか相談できます。生活費の見直しは、固定費(通信費、保険、サブスクなど)から始めると負担が少なくなります。
休んでいることに罪悪感がある
休職は、回復して、また自分らしく働くための時間です。罪悪感が強いときほど、その気持ちを主治医や身近な人に話してみてください。
次の一歩
- 主治医と、休む期間と回復の目安を話す
- 会社の就業規則と、傷病手当金の条件を確認する
- 回復してきたら、復職か転職かを考える(退職する場合は退職したらやる手続きへ)
まとめ
- 休職中は、まず休むことを優先する。大きな決断は回復してから
- 傷病手当金は、条件を満たせば、支給開始日から通算1年6か月の範囲で受け取れる
- 退職後も受け取れる場合があるので、退職日を決める前に条件を確認する
- 一人で抱え込まず、主治医・産業医・相談窓口を頼る
出典(2026年10月23日確認)
- 協会けんぽ「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/
- 厚生労働省「こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」 https://kokoro.mhlw.go.jp/
制度は変わることがあります。加入している健康保険の窓口で、最新の案内を確認してください。


コメント